日銀は31日、2001年7−12月に開催した金融政策決定会合の議事録を公表した。このうち9月18日の会合では、物価インフレ目標の導入を求める政府に対し、速水優・日銀総裁(当時)が「内外の市場関係者に混乱を与え、日本経済にもプラスにならない」と不快感を示して応戦していたことが分かった。
当時、物価が持続的に下落するデフレ懸念が拡大。日銀に物価の誘導目標である「インフレ目標」導入を求める声が強まるなど政府からの圧力が強まっていた。
速水総裁はこの日の討議の終盤で、インフレ目標について「あたかも特効薬のような論調もみられるが、金融システムの機能不全といった構造問題や需要不足など日本経済が抱える根源的な問題を抜きにして物価目標だけ取り上げて論ずるのは生産的でない」と指摘した。
塩川正十郎財務相は「日銀の独立性は世論や政府の考えをくんだうえでのもの。物価下落をどの程度の期間で抑えるか議論してもらいたい」と金融政策の運営目標の明示を求めた。また、与党内にはインフレ目標に加え、首相による総裁の解任権を視野に入れた日銀法改正構想も浮上。デフレが加速する中「物価の番人」である日銀への圧力が高まっていた。
この日の会合には、政府側からインフレ目標導入に積極的に主張していた竹中平蔵経済財政担当相が出席。速水総裁は「金融政策の意見は日銀法に定められた枠組みの中で、決定会合の場で建設的な意見を賜りたい」とクギを刺した。
竹中担当相は「デフレ克服は政府全体目標。日銀の独立性は重視するが、新しい役割分担が議論されていく必要がある」と応酬し、日銀に理解を求めた。
インフレ目標の導入は中原伸之審議委員が8月の会合で初めて提案。竹中担当相は「今後の議論の対象に」と訴えていた。ただ、9月の会合では、中原真審議委員が「極めて大きな副作用の恐れがある」、須田美矢子審議委員も「インフレ目標を掲げるか否か自体は大した意味はない」と、効果を疑問視し、政府との温度差が鮮明に表れた。
10年が経過した現在も、インフレ目標の導入論は根強いが、日銀は依然として消極姿勢をとり続けている。
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